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臓器別に厳選した208のキーワードで病理所見を“拾い上げ”,"位置づける"力を養う!

病理と臨床 2024年臨時増刊号(42巻)

病理形態学キーワード2024

カバー写真
  • 編集:『病理と臨床』編集委員会
  • 編集 大橋健一・牛久哲男・亀山香織・柴原純二・関根茂樹・長嶋洋治
  • B5変型判・516頁・4色刷
  • 2024年3月21日発行
定価 11,000 円 (本体 10,000円 + 税10%)
あり
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内容

序文

主要目次

病理の診断名ではなく,主に所見用語を切り口として,その用語の意味や意義,広がりを読み解き,好評を博した「病理形態学キーワード」(病理と臨床 2010年臨時増刊号(28巻)).今回も各臓器の新進気鋭の専門家を執筆陣に迎え,21の臓器から重要な所見やトピックスとなる208のキーワードを取り上げ,定義,背景,病理,関連病変などを写真とともに解説する.形態学を基にした病理診断に求められる,“所見を拾い上げる力”と“その所見の意義を正しく位置づけ,最終診断に至る力”を養う1冊.
『病理と臨床』42巻臨時増刊号
病理形態学キーワード2024
発刊にあたって

 形態学を基盤にして正しく病理診断を行うためには様々な能力が必要である.重要なものの一つとして多彩な組織像から特徴的な所見,診断にとって意義の大きい所見を見出し,所見の意義を正しく位置づける能力があり,もう一つとして所見の組み合わせから疾患を想起し,鑑別診断,診断の確定に至る能力が挙げられる.通常,教科書を通した病理学の勉強では,疾患ごとにまとめられた概念,病理所見,鑑別診断を理解して覚えることになり,後者の能力は身につくが,前者の能力である所見の拾い上げ,位置づけについて習得することは容易ではない.同じ組織像を顕微鏡でみていても観察者間でその表現,所見が異なることはしばしば経験され,所見のとり方,意義づけが人により,また施設や地域によって異なる場合が経験される.同じ言葉からそれぞれが思い浮かべる組織変化も異なって当然かと思われる.さらに,病理診断にとって重要な所見は様々あるが,同じ言葉でも臓器によって使い方,指す組織像,意義について違いがあることもしばしばあり,臓器ごとにそれぞれの所見,キーワードの意義を正しく理解する必要がある.
 2023年4月刊行の『病理と臨床』41巻臨時増刊号では「病理診断クイックリファレンス2023」をテーマとし,臓器ごとに専門医試験でも繰り返し出題されるような重要疾患について,疾患概念,診断クルー,ピットフォールなどを写真とともに解説している.今回42巻臨時増刊号として企画した「病理形態学キーワード2024」は,疾患名ではなく臓器ごとの重要な所見,トピックス的なキーワードを取り上げ,それぞれの定義,背景,病理,関連病変などを適切な写真とともに解説するものである.読者にとって,病理診断における所見の拾い上げ,位置づけに役立つことが期待される.「病理形態学キーワード」については以前28巻(2010年)においても発刊されているが,今回までの間にかなりの時間経過があり,その間の病理診断学,治療法の進歩により重要な所見,トピックスも変化していると考えられる.実際,多くの読者から改訂の希望が編集部に寄せられている.
 今回の42巻では執筆者として各臓器の新進気鋭の専門家に多く加わっていただき,キーワードの選定から解説までを担当していただいた.若手病理医,特に専門医試験受験前の専攻医にとっては「病理診断クイックリファレンス2023」と組み合わせて勉強することにより,学習効果はさらに上がることが期待され,ベテラン医師にとっても重要な生涯学習のツールになると思われる.

 『病理と臨床』編集委員会
第1章 頭頸部
 01 HPV感染
 02 表層分化型
 03 上皮内水疱・上皮下水疱
 04 歯原性上皮
 05 幻影細胞
 06 二相性分化
 07 腫瘍随伴リンパ球増生
 08 基底細胞様
 09 導管内増殖
 10 粘液細胞

第2章 肺―非腫瘍―
 01 蜂巣肺
 02 器質化肺炎(パターン)
 03 硝子膜
 04 胸膜肺実質線維弾性化
 05 空洞性・囊胞性病変
 06 肺類上皮細胞肉芽腫
 07 蔓状病変
 08 肺の異常(anomalous)血管
 09 肺の壊死性肉芽腫性血管炎
 10 含鉄・石綿小体
 11 肺ウイルス感染関連所見

第3章 肺―腫瘍―
 01 lepidic pattern
 02 活動性の線維芽細胞
 03 微小乳頭型パターン
 04 複雑腺系型
 05 tumor spread through air spaces(STAS)
 06 粘液産生腫瘍細胞
 07 腸型分化
 08 胎児肺型形質
 09 神経内分泌形態
 10 alveolar space-filling pattern

第4章 縦隔
 01 胸腺上皮細胞の多様性
 02 未熟Tリンパ球
 03 胸腺リンパ濾胞
 04 血管周囲腔と髄質分化
 05 小結節構造
 06 紡錘形細胞
 07 rhabdoid feature
 08 神経内分泌分化
 09 胚細胞腫瘍の異常血管
 10 多房性胸腺囊胞

第5章 食道
 01 表層分化型・上皮内偏平上皮癌
 02 治療効果判定
 03 上皮内細胞浸潤
 04 導管分化
 05 pseudocarcinomatous hyperplasia
 06 ヨード不染帯・淡染帯
 07 droplet infiltration
 08 導管内進展
 09 食道胃接合部領域

第6章 胃
 01 胃型形質
 02 壁細胞過形成
 03 幽門腺化生・偽幽門腺化生
 04 腸上皮化生(完全型・不完全型)
 05 増殖帯
 06 内分泌細胞微小胞巣
 07 リンパ上皮性病変
 08 ラズベリー様ポリープ
 09 胃底腺・頸粘液細胞分化
 10  手つなぎ・横這い型癌

第7章 腸管
 01 簇出
 02 desmoplastic reaction(DR)
 03 陰窩の構造異常
 04 異所性陰窩
 05 ミスマッチ修復タンパク異常
 06 類上皮細胞肉芽腫
 07 陰窩上皮アポトーシス
 08 腫瘍内浸潤リンパ球
 09 lymphoepithelial lesion (LEL)/intraepithelial lymphocyte (IEL)
 10 腸間膜静脈炎/静脈硬化

第8章 肝
 01 壊死炎症
 02 線維化
 03 胆汁うっ滞・肝内胆管障害・細胆管増生
 04 脂肪変性
 05 肉芽腫
 06 異常血管(動脈系・門脈系)
 07 SVR後の肝組織像
 08 免疫チェックポイント阻害薬による肝障害
 09 肝細胞・胆管細胞分化
 10 ductal plate malformation

第9章 胆・膵
 01 groove lesion
 02 ductulo-insular complex
 03 腺房導管化生
 04 膵脂肪置換/膵脂肪腫症
 05 花筵状線維化
 06 papillary neoplasm
 07 squamoid/meningothelial-like morules
 08 brush border-like zone
 09 破骨細胞様巨細胞
 10 偽乳頭状構築

第10章 腎
 01 淡明な細胞質
 02 好酸性細胞質
 03 乳頭状構築
 04 紡錘形細胞
 05 molecularly defined renal carcinomas
 06 糸球体硬化(閉塞型,充実型)
 07 管内細胞増多と半月体
 08 ポドサイト腫大
 09 過剰濾過と糸球体肥大
 10 尿細管内円柱

第11章 尿管・膀胱・尿道
 01 (尿路上皮の)化生
 02 (尿路の)筋層
 03 (尿路上皮癌の)浸潤
 04 (尿路上皮癌の)divergent differentiation
 05 (尿路上皮癌の)内反性増殖
 06 Paris System
 07 (尿路上皮癌の)異型度
 08 (尿路の)乳頭状病変
 09 (尿路の)平坦状病変
 10 膀胱炎

第12章 男性生殖器
 01 小型腺管―独立管状腺管で構成される腺癌とその鑑別診断―
 02 導管内病変
 03 乳頭状・房状構造
 04 篩状構造
 05 Gleasonパターン4/5の割合
 06 神経内分泌分化
 07 局所進行性癌
 08 精細管内病変
 09 思春期前型・後型
 10 体細胞型悪性腫瘍

第13章 女性生殖器
 01 浮遊核分裂/頂端核分裂
 02 Silvaシステム
 03 p16陽性
 04 MELFパターン
 05 子宮体癌の脱分化
 06 類内膜癌の異型度(グレード)
 07 中腎管様分化
 08 SETパターン
 09 腹膜インプラント
 10 胎児血管灌流不全

第14章 乳腺
 01 筋上皮細胞
 02 乳頭状構造
 03 篩状構造
 04 壊死と石灰化
 05 化生
 06 グレード分類(異型度)
 07 混合癌
 08 線維化(硬化性病変)
 09 サブタイプ

第15章 内分泌
 01 核内細胞質封入体
 02 被膜浸潤/血管浸潤
 03 甲状腺濾胞のpacking
 04 STIパターン
 05 normal rim
 06 Weissクライテリア
 07 コルチゾール/アルドステロン産生
 08 PASS/GAPPスコア
 09 血管周囲性配列
 10 カテコールアミン産生

第16章 リンパ組織
 01 Hodgkin/Reed-Sternberg細胞
 02 light chain restriction
 03 MYC and BCL2 rearrangements
 04 T-follicular helper細胞(TFH)
 05 transformationとtransdifferentiation
 06 単球様B細胞
 07 三日月核組織球
 08 Langhans型巨細胞
 09 hyaline-vascularとhyper-vascular
 10 非腫瘍性疾患における形質細胞増生

第17章 血液・骨髄
 01 芽球の分化傾向
 02 芽球の割合
 03 異形成と異型
 04 腫瘍性形質細胞
 05 骨髄の線維化
 06 骨髄移植後変化
 07 血球貪食
 08 骨髄間質
 09 ヘマトゴン
 10 リンパ腫の骨髄浸潤

第18章 骨・軟部
 01 エピジェネティクス
 02 リスク分類
 03 局所浸潤型肉腫
 04 脱分化
 05 魚骨・花筵・血管周皮腫様配列
 06 円形細胞肉腫
 07 脂肪成分
 08 軟骨成分
 09 多核巨細胞
 10 ラブドイド細胞

第19章 心・血管
 01 心筋細胞肥大
 02 心筋細胞空胞化
 03 心筋間質線維化
 04 心筋錯綜配列
 05 心筋凝固壊死
 06 出血性心筋梗塞
 07 アミロイド沈着
 08 脂肪浸潤
 09 収縮帯壊死

第20章 皮膚
 01 表皮壊死
 02 リンパ球性血管炎
 03 melanocytic colonization
 04 pagetoid spread
 05 umbrella sign
 06 表皮向性
 07 クリオグロブリン
 08 rimming of adipocytes
 09 メラノサイトのmaturation
 10 外毛根鞘性角化

第21章 神経
 01 びまん性グリオーマと限局性グリオーマ
 02 微小血管増殖およびグリオーマでみられるその他の血管の異常
 03 胎児性腫瘍といわゆるPNET様要素
 04 oligodendroglia-like cell(OLC)
 05 ロゼットおよび偽ロゼット
 06 BRAF異常を示す脳腫瘍
 07 てんかん原生病変
 08 脱髄
 09 タウオパチー・シヌクレイノパチー
 10 神経核内封入体病

索引